STORY

手放すことでわかった服との心地よい関係

ファッションの仕事をしていると「やっぱりたくさん服を持っているんですか?」と聞かれることが多いです。が、これまで関わらせていただいたクライアントと比べても少なくシンプルな方ではないかと思うんです。

でもかつては真逆のいわゆる捨てられないタイプでした。

今回は今に至るまでのストーリーをお話していきます。

 

気に入った服に出会い、色やデザインでどちらにしようか迷ったら2つ買うタイプでした。

また買いにくる時間は無いしそのときにもし売れてなくなってしまってたら嫌。しかも店員さんの手前、買わないとも言いにくい。迷ったら2点買う、即決する方がなんとなくかっこいいと思っていたんですよね。

欲しいと思ったら試着をしてなんとなく合えばその場ですぐ買う。迷ったら2点買う。今思うと買い方がとても衝動的でした。

独身時代、わたし一人暮らしをしていたのはは服に溢れかえる部屋でした。

アパレル販売員だったので毎週新作を身に付ける生活。毎週数着買うのに、手放すことはほとんどしていなかったので服が溢れかえるのは当然ですよね。

そこへきて自分の部屋の掃除は苦手。クローゼットに入りきらず部屋のあらゆるところに服が散乱し、なんとも悲惨な部屋でした。(ひどい部屋で当時お付き合いしてた夫も一度もわたしの部屋を見たことはありません)

それなのにいつも「着る服がない」と言い、また新しい服を買うことを繰り返してました。トレンドの服を溢れるほど持っていたのに、今思うと不思議で仕方ありません。

 

39歳で結婚するとこの暮らしが一変しました。夫と六畳一間で二人暮らしをすることになったのです。

そのときにわたしが持ちこんだ荷物はトランク1つとみかん箱3箱。だってそれ以上の荷物は新しい部屋には入らなかったからです(笑)これを機に生活用品含めほとんどの持ち物を処分しました。もちろん溢れかえっていた洋服たちも。

こうして強制的に最低限の服たちとの生活がはじまりました。すると、驚くことになんの不自由もなかったんです。不自由どころか、クローゼットはいつもすっきりして片付ける必要はないし、行方不明の服を探さなくていい。出かけるときに服で迷うこともなくなって快適でしかありませんでした。

 

今まで大量に持っていた服って、わたしにとって何だったんだろう?

この体感があってからそれまでの服の買い方を見直すようになりました。数多くは持てないからこそ、着るたびに嬉しくなるような本当に気に入ったものを買おうと決めました。

 

もちろん最初は長年染み付いた買い方の癖が抜けなくて困りましたが、何度も失敗しながら吟味して買うことを練習し、今はやっと自分の心地よい買い方が見つかりました。

・欲しいという衝動はしばらく寝かせる

・2~3日欲しいかを問い続ける

・それでも欲しいと思ったら買う

・もし手に入らなければご縁が無かったことにする

すぐ欲しい、すぐ解決したい、と思ってしまうタイプなのですが、服や物を買うことに関してはあえて時間をかけることを意識しています。

本当に欲しいのかどうかを自分に問い続けるために。

そうやって本当に欲しいと実感し手に入れた服や物であれば、買った後も身に付けるたびにとても嬉しくなるんですよね。買ってよかったな、本当に欲しくて買ったんだよな、買うまでに時間かかったなと購入までのプロセスが愛おしさをさらに増してくれる気がしています。

 

買ったときの気持ちはどんなだったか。

ワクワクしていたのか。

その気持ちを自分だけはずっと覚えているものです。身に付けるたびに思い出されますから。

だったら買うまでのプロセスも大切したい。

安いから。

便利そうだから。

時間無いからこれでいいか。

そんな理由だけなら買わない、自分の家に持ち込まないと自分に約束をするようになりました。

服だけでなく、人生の選択も多分同じなんですよね。好き、ワクワクする、そんな気持ちでなんでも選びたい。

 

たかが洋服、されど洋服。

毎日身に付けるものだからこそ、できるだけ着ていて嬉しくなるものにしたい。

なので、わたしは”自分に問いかけること”と”ゆっくり決めること”を大切にしています。