STORY

実りの秋

一雨ごとに秋めいてきましたね。
お料理の仕事をしていると年に何回か野菜の端境期(ハザカイキ)という悩ましい期間に突入します。
夏野菜が終わりを告げて秋野菜がまだお目見えしない、という時期。

トマトもないし、ズッキーニやオクラ、ニンジンや玉ねぎでさえ行きつけの自然食品店から
姿を消しました。
今日買えたのはまだちょっと早いかぼちゃとさつまいも、秋茄子。

代わりに並んでいたのは何種類かの葡萄と栗、早生みかん。

実りの秋、とはよく言ったものです。
お野菜はちょっとの間少ないけれどシャインマスカット、ロザリオビアンコ、スチューベンなどの葡萄もみかんも栗も実ったものたち。
農薬や化学肥料を使わない果実は甘いだけでなく酸味とのバランスもよくジューシー。

しっかりタネはあるけれどそれは自然なこと。
一粒づつ口に入れて皮と実の間の甘みと渋みを味わってからタネをだします。
そんな時間がなんとも贅沢に思えるのです。

実がなる、といえば各地で稲の収穫も始まっていますね。
わたしがお手伝いに行っている長野県上田市の自然栽培の田んぼも9月の中旬から末にかけて
手刈りで稲を収穫して田んぼの真ん中に立てた稲架(はさ)にかけて2週間ほどお日様の光で
ゆっくり乾燥させます。
そのあと脱穀して玄米になるのです。
10月に入ったらきっとあちこちで新米が出回ることでしょう。
一年を通して販売されるお米ですが収穫された年の12月31日までに精米、袋詰めされたお米が
新米とされています。
お米好きとしては待ち遠しくて仕方ありません。

実りの秋、季節を感じる食卓を囲みたいですね。