STORY

初釜

あけましておめでとうございます、から始まる
お茶の初釜。

着物を着てお茶を立てて
美術館や舞台に足を運んで夜はお寿司を摘む、
なんていう憧れがあって何年か前からお茶のお稽古に通っています。

正確に言うと通っている、ではなくて
時々顔を出しているといったところですが
先生が古くからの親友なので
甘く見てもらっています。

お濃茶は一つの器に立てたお茶を回し飲みするのですが
こんな状況だからと一人づつに立ててくださり
美味しいお茶を堪能してきました。

お茶室に入る前に外で手を洗い、一人づつ部屋に入る入り方から
畳の上の歩き方、座り方に立ち方まで美しい立ち振る舞いを学びます。

音のない空間で畳を歩くすり足の音、
茶釜からお湯を注ぐ音、
そしてお茶を立てる音。

お茶の湯炭の近くには白檀のお香を忍ばせ
お茶室の中もほのかにいい香りがして
足の痺れがなければ何時間でもその場にいたくなる
まさに瞑想状態。

代々続くお茶の先生のお家ならではの
古いお道具を愛でながら
日本人のDNAがむくむくと甦り
今年こそちゃんと通って所作を覚えたい、と思うのでした。